第五回

2号特集 ハミゴー遊び〜その3〜

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 福祉センターに通うフユおばあちゃんは今年で九十一歳。若い日の「ハミゴー遊び」の思い出を幸せそうに話してくれた。
「女の子はみんなそうだったんだけどねぇ、この日のために気合いを入れて、普段着ないような着物を用意してそれを着て行ったの。歩いてる途中でどんどん人が増えてって、ドンチャンドンチャンみんなで歌って歩いたんだよっ」
 三百人〜四百人の若い男女が洞窟を目指して歌い歩く。その姿といったら、それはまさに恋と遊びのお祭りのようであった。
 洞窟に着くとさっそく、恋の歌合戦が始まる。
 男の三線(サンシヌ)に合わせ女は手拍子、互いに掛け歌、皆それぞれ思いのままに踊った。洞窟のなかで鳴り響く音色と笑い声に包まれ、地上の楽園に酔いしれたのである。
「三線が上手い男とかね、歌が上手な女の子はよくモテたんだよぉ」
 懐かしい歌を口ずさむおばあちゃんに「ばあちゃんモテたでしょー」聞くと「いやっ、あんたモテるわけないがねっ」と、照れながらまんざらでもない顔で笑ってくれた。

 恋歌が互いの心に響き、想いを通じ合わせた男女のために、大自然はまたある一つの洞窟を用意してくれていた。
 干潮の時だけ中に入ることの出来る「恋の洞窟」へとカップルは向かう。
「あのねぇ、仲良しになった二人は下に降りてチュッチュしてたのよ、チュッチュ(笑)」
 満面の笑顔で教えてくれたその場所は、太陽の光で水面がキラキラと輝き、様々な色に彩られる、なんとも幻想的な空間であった。
 ここでは実際に結婚の約束などもされていたというが、洞窟に一度入ればそれはあたり前のように納得出来るのだ。

 懐かしい思い出話は尽きず、フユおばあちゃんばかりか周りで聞いていたおじいちゃんやおばあちゃんまで「こうだったよねぇ。ああだったよねぇ」「いや楽しかったよぉ」と本当に幸せそうに話してくれた。

 しかし、おばあちゃんはポツリと言っていた。
「ああだけど今はもう誰もあそこで遊ばなくなったんだよねぇ。みんなあの洞窟で遊んでいたのに、なんかもったいないね…」

 次回へ続く…

竹内フユさん(福祉センターにて)
西向棚からみた「恋の洞窟」
指さす場所が入口
幻想的な「恋の洞窟」
ハミゴーには様々な岩が立ち並んでいる。これは「人の顔が空へ突き出すような岩」
「熊が遠く海岸線を眺めるような岩」
洞窟の上にある原っぱ。ここでは大人達が輪を作り大宴会を開いていた。

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