第16回

無花果と葡萄
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一年前の与論での可愛い?台風、ガジュマルは何とも感じていないようだ
 台風15号が日本海を通って行った。(8月17日)小さい台風みたいな話だったので安心していたが、中心からかなり離れていても結構きつい南風が吹き荒れた。風速15m程度と言いながら、丁度熟しかけていた無花果の実の殆どが落ちた。これには説明が要る。我が家の屋上は約10坪だが、植木や野菜、それにリンゴ、葡萄、無花果などの実のなる木を植えている。今、ヒートアイランド対策に屋上緑化を国が音頭を取って進めているが、そんな事は私のところでは20年も前から実施している事だ。本音のところは土地が狭いので、屋上利用になっただけの話。
 何時も感心する事だが、土の有る所には必ずと言って良いほど雑草が生えてくる。種を蒔きもしないのに、それも踏まれても、何度となく引き抜いても、絶えることは無いその生命力には脱帽するのみ。ここは二階の屋上なのに、何処からどうしてやってきたのか分からない。多分、梯子をかけて登ってきたのかも?

 アダムとイブの時代から無花果と葡萄は頭角を現わしているのも、その生命力の強さだと思う。我が家にある無花果と葡萄の強い事には感心する。第一に、挿し木で簡単に増やす事が出来るし、葉っぱを虫に食べられる事が殆ど無い。キャベツなどの葉は殺虫剤漬けにしなければ育たないのに比べたら驚異的だ。


掃いても掃いてもきりが無い時ならぬ落葉
 その強いと思っていた無花果と葡萄も含め、落葉樹の全てが大被害を受けたのが16号から一週間遅れでやって来た18号台風だった。本当に台風の当たり年だ。テレビの台風情報では、豪雨に警戒するように言っていたが、当地では雨雲の水分が途中の和歌山や淡路島の山に当たって、カラカラの風になって吹きつけた。フェエーン現象で、おまけに大阪湾上を通って来る時に、海水を巻き上げて塩分をいっぱい含んでいる。普通の台風だと雨を伴って来るので、塩分の大半は洗い流されてしまい、潮風に特に弱いモミジはダメージを受けるが、今回のドライヤーみたいな台風では、全部の落葉樹は茶色に変色し、初冬の景色と化してしまった。無花果も葡萄も哀れな姿で、自然とは恐ろしいものだ。

 与論島は台風の通り道に当たっていて、去年の9月に訪れた時も運悪く台風に鉢合わせしてしまった。まともに暴風域に入ってしまって、横殴りの風が樹木を激しく揺すっていた。こうなってしまったら身動きできない。台風の早々の退散を願うのみだ。この時の台風は、地元の人に言わせれば可愛いものだとおっしゃる。怖れていてもしようが無いのだとしたら、こういう発想が出来るのだろう。風台風でない限り、水を運んでくれる可愛い奴なんでしょうね。


落ちた葉っぱの後に直ぐに臨時の新芽を出すアダムとイブの申し子
 それにしても、今回の18号台風の被害は大きい。ランニングコースの一部の大蔵海岸では、100本余りの松の大半が斜めになってしまい、根元から倒れたのもある。ここ10年来無かった事だ。フェンスも壊れて、コースは立ち入り禁止。
 我が家の庭の桜(樹齢35年程)の葉っぱが、全部変色してハラハラと散っていく。散っていくのはしようがないが、庭に面した部屋の日よけが無くなってしまい、暑くて困る。例年なら12月になって日向ぼっこが恋しい頃に、赤く染まった桜の葉っぱがひらひらと落ちてくれるのに、えらい違いだ。今年の晩秋の紅葉はゼロになるだろうなー。

  茶色一色の中で、無花果は早々に新芽を伸ばし始めている。やっぱりアダムとイブの申し子なんだろう。(2004.09.16 亀野稔)