第30回

真っ白な砂浜を残して
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茶花の工事現場、珊瑚礁の残骸が山積みになって


コースタルリゾートの立て看板


残された珊瑚礁が気の毒みたい


何時までも砂浜で遊んでいる私の孫
 11月に与論島へ訪れた時に、気になる光景を目にした。茶花海岸の南よりで、数年前から土木工事が行われていて、一体何事だろうと思っていたが、空港からブラブラと歩いて茶花へ戻っていると工事現場。ブルトーザーが唸りを上げている。そこに大きな立て看板を見つけた。なになに?「与論港コースタルリゾート」計画完成予想図だって!!
 これには少々驚いた。これは何事なんだろう。
 今までも茶花港の改修についてのいろいろな意見のある事を見聞きしているが、実物をじっくりと目にするのはこれが始めてだ。計画を推進されておられる方もいらっしゃるのだろうが、与論島に惹かれてやって来る人の目的とは少し違うのではないかと思う。

  私も含めて与論島の一番の魅力とは、蒼い海であり、真っ白な砂浜ではなかろうか。事実、楽園荘で同宿した多くのタビンチュにお聞きしても、「海がきれいだった!」「広い真っ白な砂浜が素敵!」など、自然の海の美しさに感動している。今年連れて来た孫は、与論島の何処へ行っても、海岸の白い砂の中の星砂を飽く事無く一生懸命に探していたし、昨年連れて来た孫も、波打ち際で砂を盛り上げたり、崩したりして帰る時間を忘れて遊んでいたのを思い出す。

 私が見たときは、「コースタルリゾート」の遊歩道が砂浜を埋め立てて建設中だった。下衆の勘ぐりだが、おそらく公的資金が当てられていて、全国一律の規格による遊歩道が出来上がるのでは?
 与論島へ来る人の殆どは、面白くも無い何処にもあるような遊歩道ではなく、オンリーワンの自然の白い砂浜に、自分の足跡を残しながら散策する方を選ぶだろう。彼ら、彼女らは人工物にはとうの昔に飽き飽きしていて、もう都会では失われてしまった自然を求めて、与論島の自然の中で癒されることを期待してやって来るのだから、その想いを裏切ってはならないと強く思う。

 関西では、和歌山県の温泉で有名な白浜が、海岸線の砂が海流の影響を受けて侵食され、危機感を持った地元では、遥かオーストラリアから真っ白な砂を輸入して広い砂浜を再構築して観光客を呼び戻そうとして努力している。今年も台風の影響で、折角の砂浜を抉られてしまい、再度砂を輸入したと聞いている。真っ白な砂浜は、それだけで貴重な価値を持っていることを忘れてはいけない。

 ヨロンマラソンの第一回目の時は、もっと茶花の海岸は広かったのに、随分砂浜が小さくなってしまっている。珊瑚礁が石積みの防波堤で窮屈そうに残っているのも返って惨めに見えてしまうが、与論島の方々はどう思ってご覧になっていらっしゃるのだろう。
 楽園荘の近くの皆田離には、与論島へ到着すると直ぐに直行して、変化に富んだ珊瑚礁や、透明な海水がウルトラマリンブルーに変わっていく有様に見とれていたのだが、最近はその気が無くなって来た。防波堤や、舟を揚げる為のコンクリートのスロープが視界を妨げるようになったからで、残念な事だ。

 他にもいろいろ有るが、もう一つ。「行きは良いよい、帰りが怖い」は、歌の文句だ。与論島への行き帰りにも同じ事が言えるのは、何とかならないだろうか。
 大阪空港を出発して、例えば鹿児島で与論島行きに乗り継ぐとしよう。朝9時に出発して鹿児島の待ち時間も僅かで、お昼過ぎには与論空港であっという間だ。ところが、帰りには鹿児島空港で待ち時間が3時間というケースが多い。実に勿体ない時間を狭い空港内で過ごさなければならない。同じ3時間を過ごすなら与論島でと思ってしまう。

 与論島が好きだから、あえて苦言を呈する次第だ。 (2004.12.21 亀野 稔)