両手に大きな荷物をぶら下げた父親がホームに降り立った。喜び勇んで駆け寄ってくる子供たちにお土産が入った袋を渡す。その後ろで母親がほほえみながら父子の再会を見守る。一家に再び、団欒(だんらん)が訪れた瞬間だ。
冬が厳しい東北地方の駅で、かつてよくみられた光景。本州の北端、津軽平野を縦断する津軽鉄道でも同様だった。
「冬は雪で何もできないから多くの人が出稼ぎに行った。昔は布団も一緒に持っていったから行くのも帰ってくるのも駅ではすべて分かった」
津軽中里駅の柳谷健一駅長は三、四十年前の見慣れた光景を思いだす。
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