尊尊我無タイトル 尊い生命へ、感謝と祈りを伝えたい KONICA MINOLTA 産経新聞70周年
「協力する心」で守った暮らし 「さつえい絵日記」はコチラ
 シャッ、シャッ、シャッ、シャッ。夜も明けきらぬうちから、竹ぼうきの音が聞こえる。外に出ると、サンゴ砂を敷き詰めた白い道を島民があちこちで掃除していた。

 昨日の通行の跡は消え無数の細い筋がひかれた道。一歩を踏み出していいものか戸惑っていると、女性がほうきを持つ手を休め声をかける。

 「いいですよ。どうぞ」

 竹富島の朝には心を洗うすがすがしさがある。
琉球瓦の家々 琉球瓦の家々

 周囲わずか約九・二キロ。島の中には赤い琉球瓦の家々、サンゴの石垣、サンゴ砂がまかれた白い道と沖縄地方の昔ながらの町並みが残る。

 「幼いころから数え切れないほど遊びに来た。昔は赤瓦の家にも住んでいたので、ここに来るたびに原点に戻った気がして、新たな元気がわいてくる」

 隣の石垣島出身の歌手、夏川りみさんは郷愁を募らせる。

 原点の町並みは、なにもせずに残ったわけではない。島は昭和四十、五十年代、観光開発の波にさらされた。島内でも賛否両論が巻き起こったが、最終的に団結した島民の反対活動によって開発は断念され、国から町並みを保存する地区に指定された。

 「うつぐみ」と島の人たちはいう。「みなが協力してあたる」という意味の方言だ。小さな島の中で、島民は祭事から家庭のことまで、何かあれば互いに力を合わせ、感謝して生きている。

 内盛スミさんは昭和三十年に家を建てた。

 「島の青年がみな、何日にもわたって手伝いにきてくれた。歌をかけあいながら作業を続け、完成したときには、よくここまでやってくれたね、と涙が出ました」

 朝の掃除にも「うつぐみ」の伝統が生きる。今年で八十三歳になった細原千代さんにとって掃除は先祖から継いだものを守る気持ちの表れ。その行為は結局、自分に戻ってくる。

 「きれいにしていると心が落ち着くのよ」

 心を静め、活力を与える島。それぞれが気ままに暮らし、そのために逆に心をすり減らしていく大都会の日常とはかけ離れた社会が、小さな島には満遍なく広がっていた。(銭本隆行)



さつえい絵日記
>>「さつえい絵にっき」はコチラ


●撮影/酒巻俊介(産経新聞社 写真報道局)
【撮影データ】 6×4.5カメラ 80mmレンズ
コニカクロームSINBI100
●撮影地/沖縄県・竹富島
●撮影状況:
吸い込まれそうな青空。砂浜の白い砂を敷いた路地。石垣にもたれかかって、てぃだ(太陽)を浴びる、りみさん。

撮影テクニック:
南の島の日差しは限りなく強く、目だけでなくフィルムにも突き刺さる。太陽が傾きだした夕方から撮影をはじめよう。木々の陰が少しずつ伸びていくのを楽しみながら。
「沖縄県・竹富島」案内
尊尊我無なひと
夏川りみさん
本名:兼久りみ  出身地:沖縄県石垣市
 好きな言葉 :「感謝の気持ちを忘れずに」
 3歳の時から歌い始め、平成13年に発売された「涙そうそう」は、地元沖縄から火が付き始め、全国的な大ヒットに。心に響くその歌声は、NHK紅白歌合戦、レコード大賞金賞、日本ゴールデンディスク大賞など、多くの人々の評価を受けながら日本中に広がっている。8月27日に、ニューマキシシングル「鳥よ」を発売予定。
私の「尊尊我無(トートゥガナシ)」
 私のアルバム「南風」に、『涙そうそう』の沖縄方言(ウチナーグチバージョン)があります。これはBEGINさんのオリジナルアルバムに収録されていたものですが、このバージョンが好きだといってくれる方も多いです。言葉に思いを込める〜そんな気持ちが伝わるのかもしれません。
 『涙そうそう』に出会えたのも、森山良子さんやBEGINの皆さんに出会えたのも、沢山の方がこの曲に出会ってくれたことも、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとう、尊尊我無。
夏川りみオフィシャルサイトはこちら
TOP
与論篇
第1回
第2回
第3回
第4回
第5回
第6回
第7回
フォトグラファー酒巻の 酒巻氏イラスト フォトグラファー酒巻の フォトグラファー酒巻の
撮影レポート 撮影レポート 撮影レポート
画像をクリックすると大きな画像がご覧頂けます

木陰の小道

白い路地

屋根と空

わきあがる雲

砂の造形

複雑な花びら
白い雲

太陽に向かい合う


続く砂浜

気取って
木漏れ日

夕日に向かって

このページトップへ